「根本的なところが一致しない」統一会派の結成は困難
多党化によって、野党連携で政権交代を目指す機運は消え失せている。今日では「何でも反対」という旧来型の野党像は有権者に求められていないが、それも健全な民主主義を成り立たせるための選択肢の一つであり、政権与党に緊張感を与えるためにも必要な要素だ。だが、野党勢力は「高市早苗一強」政権に太刀打ちできないというのが現状で、党勢回復を前にして、政治課題の解決も期待できない。野党勢力は多党化が進んだことでどの政党も少数勢力であり、「多弱化」が深刻だ。まず、衆議院における最大野党である立憲民主党・公明党で結党した中道改革連合だが、結党から約7カ月で瓦解の危機にある。2026年8月31日、小川淳也氏(中道)、水岡俊一氏(立憲)、竹谷とし子氏(公明)の各党代表が、記者会見で党合流を見送ったことをた表明した。3党合流は事実上白紙となった。中道は「リベラルから穏健保守を含む幅広い勢力の結集」を目指したものの、分党も含め、公明党出身議員の離党に向けた調整に入ることとなった。そもそも、性急な結党によって、理念・政策の違いのすり合わせや、選挙区の調整に難航したことが致命的だった。関係者の間でも、本音ベースでは慎重意見も多く、地方からの「合流は困難」の声や、結党当初から公明党では離党案が浮上していた。その上で、中道が26年2月の衆院選で大敗し、新党結成を推進した元立憲の人物幹部の多くが落選し、両党の間に亀裂が生まれたことも大きい。中道の合流が撤回され、高市政権に対抗するための戦略の練り直しを迫られている。合流協議を通じ、リベラル色の濃い立憲と公明の溝はむしろ拡大し、分裂は決定的だ。新たな勢力結集の成否に党の生き残りが懸かり、両党の幹部は焦りを深めている。 このような事実上の分裂は、野党全体の求心力を低下させ、政権監視の役割も果たせず、与党独走体制を強めることになる。8月31日に、公明党の西田実仁幹事長は、三党合流が見送られたことを受け、立憲との今後の連携を巡って、安全保障政策等で「根本のところが一致していない」と述べ、統一会派の結成は難しいとの認識を重ねて示した。また、立憲の田名部匡代幹事長も「衆院議員のいない立民をこれ以上長く続けていく訳にはいかない」と記者会見で述べ、次期衆院選では独自候補を擁立する意向を示している。7月召集の特別国会では、皇室典範改正や国家情報会議設置法への対応を巡り、中道・公明、立憲の3者で立場が割れた。背景には安全保障や原発再稼働問題といった基幹政策での相違があった。こうした経緯もあり、立憲が提案した衆院統一会派について、西田氏は「根本政策が一致しない」と拒否し、別の公明党幹部も「政策が合わないなら合同会議は廃止だ」と語っていた。衆院では中道が正式に分裂しても、立民議員(21人)と公明系(28人)が統一会派を結成する流れもあり、国会対応の主導権を確保するため、国民民主党(国民民主、28人)を上回る勢力を維持する狙いだ。立憲の中には、新党創設や復党を模索する向きもあり、野党のさらなる細分化が進む可能性もある。そうなれば、多弱化が進み、野党の存在感は損なわれるだろう。 中道の小川代表は9月4日の記者会見で、今後は公明・立憲に加え、国民民主とも連携していきたいとの考えも示した。ただ、国民民主の思いは政権側に向いている。
