複雑すぎる「小選挙区比例代表制」

2022年夏に参議院選挙が予定されている。選挙結果は2111月発足の第2次岸田(文雄)内閣の政権の行方を占うことになる。そこで、今回は選挙制度について考察したい。民主主義国家の日本は、中国・北朝鮮のような最高権力者の独裁を許すことなく、国民が選んだ国会議員の中から、衆参両院の指名により内閣総理大臣(首相)が決まる。政権を担う総理には、「国の安全保障」「国民の生命・財産の保全」を第一義に、対外的には我国の存在感を際立たせる外交力も求められる。それらの条件を兼備した者が総理の座につくのが望ましい。地元有権者の民意だけでは足らず、他の議員達の後押しも期待できない。社会に対する有権者の民意を反映させるため、まずは選挙で選出される必要がある。現行の選挙制度は3つだ。一般的に国政選挙(衆議院・参議院の国会議員の選択)・地方選挙(原則4年の任期満了時に、地方自治体首長・地方議会議員を決める)・特別選挙(国政・地方選挙を補完する不定期なもの)である。これらは、旧制度の利点を集約し、欠点を補うように考案された。例えば、小選挙区比例代表制は、それまでの中選挙区制から1994年に候補者の中で1名だけを選ぶ小選挙区制と、より広範な意見を反映させるために比例代表制を並立させた制度である。地元選挙区の結果と、政党の投票数に比例して、各政党の候補者に議席が配分され、全国から集まった票も加えて、最終的に当選者が決定される。有権者は政党名で投票し、政党の獲得票数に応じて名簿の登録上位順から選抜される。小選挙区との重複立候補もできるので、同一選挙区で落選した別の候補者も復活当選が可能となる。ただ、“複雑”過ぎるという声もあるが…。衆議院議員総選挙についてだが、定数は小選挙区で289議席、比例代表176議席の計465議席だ。衆議院は4年の任期満了時か、首相の判断で解散をした時点で選挙を行う。2016年には公職選挙法が改正され、今後は「1票の格差」是正のため、国勢調査の結果を参考に小選挙区の定数配分を見直す「アダムズ方式」が導入される運びだ。しかし、現時点では導入時期は未定で、226月までに公職選挙法改定案が決定すれば、衆院小選挙区の定数が15都県で「10増10減」となり、次期衆院選から新しい区割りが採択される。それ次第では、例えば安倍(晋三)元首相と次期首相候補と目される林(芳正)外務相が同選挙区となる場合が想定される、定数減で二階俊博前幹事長の地元にも影響が出ることにもなる。選挙区の調整が難航すれば政局の火種になりかねない。次に参院選だが、こちらは任期6年で、3年に一度必ず半数入替を行なう。これまで参院議員から首相が1人も生まれておらず、前述の林氏は将来の“首相狙いで参院から衆院に鞍替えをしたといわれる。最後に統一地方選挙だが、地方自治体の長や議員の選挙日程を全国的に統一して実施される。無投票が増え続けており、19年には過去最悪(27%が無投票当選)となっている。議員のなり手不足の傾向もあり、高齢化、過疎化が進む地域では深刻である。なお、参院選の投票日は、今期国会の会期末が22年615日で、現職議員の任期切れも勘案すれば、翌月の710日が有力とされる。「政治は一寸先は闇、常在戦場」だ。政局の天王山の有無もその結果次第だ。※本欄は月刊誌「リベラルタイム」2022年3月号「匠の視点(第23回)」としても掲載。