「政治と宗教」を巡る問題で自公連立政権に歪(ひず)み

韓国発祥のカルト宗教団体と見做される旧統一協会(現・世界平和統一家庭連合)は、信徒から“霊感商法”等による高額献金や政治家利用の不徳で問題視されている。現内閣は自民党と公明党による連立政権であるが、「政治と宗教」問題が政権与党の公明党の立ち位置を揺るがし始めた。同党の支持母体が宗教法人の創価学会であり、国民の「政教分離」に対する理解が十分とは言えない現状から、創価学会関係者のこれまでの公明党への支援のあり方や実情にも着目されだしたからだ。第2次岸田(文雄)改造内閣発足時の記者会見では、「憲法上の信教の自由は尊重するも、宗教団体も関係法を遵守すべきで、逸脱する場合は厳正に対処する」との趣旨を公言している。政権発足時、2025年まで3年間は国政選挙の必要はなく、「黄金の3年間」といわれた岸田政権だったが、支持率が低落する一方で、政権は右往左往している。旧統一教会の被害者救済や悪質な寄付要求行為の規制対策が求められる現状は、今後の政局にも影響しかねない。自民党内には「公明党と距離をとるべき」と主張する議員や、野党の国民民主党・日本維新の会との関係強化を推奨する議員も出ている。この自公体制の始まりは、1999年の第2次小渕恵三内閣からで、途中、民主党に政権交代した時には、自公下野もあった。また、外交・安全保障政策における立場の違いや、創価学会からの自民党執行部への責任論が浮上したこともあった。数々の課題を乗り越えてきた自公政権ではあったが、ここにきて既述の旧統一教会問題の影響を受け始めている。自民党の中には、やはり選挙時に学会員の支援を得てきた議員も多く、対応は一筋縄ではいかない。例えば、現行の衆議院の議席数では単独過半数(2110月時点・465議席のうち、自民党は276、公明党29)となってはいるものの、参議院(2210月時点・248議席のうち、自民党は118、公明党27)は、絶対多数での政権運営・政策決定はできない現実がある。本年の参議院選挙で、岡山選挙区で自民党の小野田紀美議員が「公明党の支援はいりません」と発言し、圧勝したことが印象的だったが、公明党は同参院の結果はふるわなかった。存在感低下の危機を感じた山口那津男代表は、当初は世代交代を予定していたが、23年春の統一地方選の勝利に向け、周囲の期待に応えて続投する意志を表明した。頭脳明晰で、人望と安定感がある山口氏は、筆者がこれまで交流の機会を持った政治家の中では、最高の人格者だと本音で感じている。筆者は創価学会員ではないが、学会本部を数回訪問し、池田大作名誉会長が多くの会員を前にした説話を肉声を聴く体験もした。その後、同会長との記念撮影もしている。さらには、現在の原田稔会長にも懇意にしてもらい、相席での会食もしている。そのような経歴もあったことから、公明党や創価学会への関心は強い。現在、筆者が代表を務める匠総合研究所のホームページでも、太田昭宏公明党常任顧問や山口氏に関する「政治家エピソード」や、既述の池田名誉会長・原田現会長とのスナップ写真も掲載している。今後の自公連立関係の行方だが、野党の纏まりがないとはいえ、安倍・菅の両政権時代と比べ“自公の絆”は弱まりつつあるように感じる。1210日の国会会議末を控え、課題山積で疲れ気味の岸田首相が突如「衆議院解散」を発し、総選挙に向かうことなく、重要課題に取組むことで政権を安定化させることも岸田・山口両党首に期待したい。※尚、本欄は月刊誌「リベラルタイム」2023年1月号「匠の視点」第33回としても掲載。 

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