政治家エピソード連載(岸田文雄・石破茂)

令和の元号で新しい年を迎えた本年第1回目の本欄は、次期総裁候補の一人として何かと名前が取り沙汰されるお二人についてのエピソードである。安倍総理が政権移譲する場合の候補者として有力視されているのが外務大臣を長く務めた岸田文雄政調会長(自民党政務調査会長)であり、そして現政権とは距離をおいている存在ではあるが地方党員などの支持率は高い石破茂さんのお二人についての話である。個人的には、好き嫌いということではなく国益を優先するとなれば、自民党の総裁任期を変更してでも「党総裁4選も有り」として、安倍さんが継続するのがベターであろうと思ってはいる。それは別として、本題に移り、まずは岸田文雄さんに関する私の人物イメージである。色々な会での講演を数回聴いていたので、極めて真面目な“人となり”については承知しているが、それ以前にある方からのお誘いにより、有名ホテルでの会食(メンバーは、計4人)も2回ご一緒していたので、実像に近いものも感じ取っていた。驚いたことに、その席には誘っていただいた方の他には、岸田さんが現在会長である宏池会(自民党派閥)の前任会長であった古賀誠先生だったからだ。そのような席に2回にわたり私がお誘いを受けた理由は定かではないのだが、自民党幹事長なども歴任された古賀先生(昨年2019年9月に現役を引退された)の存在感は凄く、安倍政権の改憲姿勢には批判的であることなどもあってか、2回の会食時の岸田さんはまるで“少年の如し”であった。実は、12月6日付の本欄で触れた旭化成のトップであった宮崎輝さん(社長、会長として31年君臨した)の時代に、当時亀井静香、平沼赳夫先生など総勢10名前後の先生方を支援する会であった「輝会(かがやきかい)」のメンバーに古賀誠先生の名前もあったのを思い出させられた。岸田さんは誠実で、敵も少なく、自分の考えもきちんと主張される方ではあるが、(派閥の前任会長の前だったこともあったかも知れないが)日本国の先頭に立って国民を引っ張っていくには「大人し過ぎるかな‥」というのが正直なところである。もちろん立場や役割が変われば、人は変わるものではある。次に、もう一人の石破茂元幹事長・元防衛大臣(防衛庁長官)についてである。「自民党が野党時代に学んだ謙虚さを取り戻そう」などと現政権に対しては“党内野党”的な発言も目立ち、政権中枢(安倍さん、麻生さんなど)とは相性が良くない印象がある。これまで安全保障・地方創生を政策の柱として掲げ、私も会合等でお話しをする機会も数回あったりはしたが、政治家としては誠実な方との印象はあるものの、親しくなっても“懐には入れていただけない方”だと実感した。その辺りが、前回の本欄で取り上げた麻生さんとは最も異なる点だ。石破さんのお父上と田中角栄元総理とが親しかったことも、銀行マンから政界に転出したきっかけの一つと言われているが、農林大臣をしていた時に、当時の首相だった麻生さんに退陣を迫ったことなどもあり、過去のこのような行動などは、口にこそ出しては言わないが、自民党幹部の脳裏に刻まれ、現在は要職につけずにいる要因の一つであろう。北朝鮮の脅しに屈しない抑止力の構築を訴えるなど、何故か防衛大臣が似合った石破さんだが、最近では報道以外の“お茶の間番組”でのテレビ出演もするなど、国民を対象に露出することを意識されている感があるが、これも次期総裁のラストチャンスを考えておられるからだろうか‥。

※この連載では(第1回)中曽根康弘・中曽根弘文、(第2回)山崎拓・伊吹文明、(第3回)小渕優子、松島みどり、(第4回)麻生太郎・梶山弘志、(第5回)岸田文雄・石破茂の各先生を掲載。以後は、順不同であるが、山口那津男、与謝野馨、二階俊博、加藤紘一、中川秀直、額賀福志郎、江藤拓、鈴木宗男、松本剛明、丹羽雄哉、加藤勝信、甘利明、石原伸晃、太田昭宏、棚橋泰文、金子一義、高市早苗、石田真敏、逢沢一郎、山本有二、山本幸三、野田毅、盛山正仁、福田康夫の各先生を予定。