日本企業の間で広がる「中国離れ」

日本企業の間で広がる「中国離れ」

2025年12月29日から30日に中国人民解放軍が台湾包囲の軍事演習を断行した。演習は実弾を使用した大規模なもので、台湾周辺海域の海上封鎖を想定していた。中国はこれまでも、演習のたびに台湾本土に近付き、実戦と見間違うほどの規模で人民解放軍の力を見せつけてきた。トランプ米政権が台湾に1兆7千億円相当の武器売却を決定したことに対し、苦々しく思った習近平中国国家主席が、アメリカに対して華々しい軍事力を示し、警告する目論見があったようだ。また、中国は日本に対しても揺さぶりをかけている。25年11月の衆議院予算委員会における高市早苗首相の台湾有事をめぐる「存立危機事態」答弁に反発した中国は、日本への観光旅行や留学の自粛を国民に要請。日本産水産物の輸入の実質的停止し、日本映画の上映等の文化交流を止めた。覇権主義的な行動を強める習近平氏は年来、必ずアメリカと対等の大国となると〝米中2大国論〞を説き、執念を燃やしてきた。力で世界支配を目指す習近平氏の決意は相当なものだ。そのような状況の中、トランプ大統領が26年の年明け早々、ベネズエラを急襲し、マドゥロ大統領を拘束し、アメリカに移送。これに対して、1月5日開催の国連安全保障理事会の緊急会合で、グテレス国連事務総長や中国・ロシアもアメリカの軍事作戦は法的根拠を欠くと非難したが、アメリカはロイター通信にて「ベネズエラに戦争は行っていないと」反論した。1月5日、韓国の李在民(イ・ジェミョン)大統領が国賓として中国に招かれ、北京で習近平氏と会談し、その両者の姿がネット配信された。中国は、歴史問題等で対日共闘を呼び掛け、李大統領を中国側に引き込みたい考えがあったようだ。トランプ氏の関税引き上げ要求等や訪米時の対応への不満もあってか、李大統領は〝嬉々として対応〞した。韓国『中央日報』によると、訪中同行者には韓国四大グループ(サムスン電子、 SKグループ、現代自動車、LGグループ)のオーナーを筆頭に2百人以上の財界関係者も加わったようだ。その中には、 SKグループの会長である崔泰源(チェ・テウォン)・大韓商工会議所会長等も含まれていた。大韓商工会議所が、かつて訪中経済使節団を設けたのは、日韓関係を冷え込ませた革新系の文在寅(ムン・ジェイン)政権時代(17年〜22年)以来の出来事だ。筆者はいまの韓国政権は「中国寄り」との印象を受けた。余談だが、筆者は日韓経済協会副会長の役職に就いていた時期があり、訪韓する機会も多々あった。09年4月には韓国国際展示場で当時の第17代大統領の李明博(イ・ミョンバク)氏と接見する機会があり、当時経済産業副大臣だった高市早苗氏もご一緒だった。15年5月には韓国大統領府青瓦台を訪問し、第18代朴槿惠(パク・クネ)大統領にも面談の機会を得たこともあった。日中関係が冷え込む中、日本企業の〝中国離れ〞が進んでいる。東京商工リサーチが25年12月に行った調査によると、今後の拠点開設予定地として中国を挙げたのは1992社のうち、9社(0・45%)にすぎなかった。経済界は次第に中国との距離を取り始めており、例えば縮小・一部撤退する企業は製造業では日本製鉄・キャノン・ホンダ・三菱自動車等。小売・飲食では、三越伊勢丹・モスバーガー・ABCクッキングスタジオ等多岐にわたる。市場縮小・消費低迷、人件費高騰等の理由もあり、工場閉鎖や店舗撤退も相次いでいる。日本政府も、「脱中国」支援の補助金制度で後押ししている。