韓国文政権の末路

2020年のリベラルタイム誌「6月号『匠の視点(第2回)』」で、筆者は「日韓関係と文大統領の『末路』」というタイトルの執筆をした。今回は、その続編といえる。第19代韓国大統領の文在寅(ムン・ジェイン)氏は、憲法の規定により再選は出来ず、来年22年5月に任期5年を終える。一院制の韓国国会は日本の衆議院のような解散はなく、残された約1年の政権運営はレームダック(死に体)になるはずだ。文氏は就任時には若い世代に人気を誇ったし、20年4月の総選挙でも、新型コロナウイルスの対応が評価され、過半数を大きく超える支持率で与党が圧勝した。しかし、文氏は過去に韓国の左翼系新聞『ハンギョレ』の釜山支社長を務め、市民活動家として民主化運動に関わった容疑で収監された過去もある。21年1月に、同紙の現役記者らは、日本でも話題になった曺国(チョ・グク)前法相の不正疑惑や、尹錫悦(ユン・ソギョル)前検察総長との対立問題報道が、あまりにも文政権びいきだと、自社を糾弾している。また、政策への期待外れが大きかった若者らの怒り等から、国政支持率は最低値に下落。21年4月に実施された、22年3月の次期大統領選に影響するといわれる、首都ソウルと第2の都市釜山の市長選でも、政権与党の候補がともに敗れる結果で、文氏の求心力低下を強く印象づけた。外交的にも、文氏は北朝鮮からの避難民の息子ということもあってか、南北政策を政権の最重要政策の一つとしており、実際にも中国や北朝鮮に擦り寄っている。朝鮮半島問題もあり、習近平中国国家主席からは利用され、北朝鮮の金正恩総書記からは無視されているのが内実。もはや日米との軍事同盟関係にある国の政権トップとは信じがたい。退任後に備えた土地購入問題等、数々の不正が表面化し、多くの韓国民からもすでに“見捨てられた”状況で、いまでは話題の中心は文氏の“末路”や次期大統領が誰になるかだ。次期大統領候補には、政権と対立し辞任した尹錫悦氏の名前が急浮上し、21年3月の世論調査(調査=韓国社会世論研究所)では支持率トップで、出馬を期待する声が出ているが出馬表明はこれからだ。筆者は、これまで度々韓国を訪問しており、05、06年と続けて、世界ブランドに急成長していた韓国財閥企業「サムスン」の研究施設「人力開発院」を視察し、同社グループの数々の卓越ぶりに感心した。日韓経済協会の役員をしていた時期の09年4月には、第17代韓国大統領李明博(イ・ミョンパク)氏に接見し、15年5月には第18代韓国大統領の朴槿惠(パク・クネ)氏にも、大統領府の青瓦台(チョンワデ)で直接面会している。しかし、20年10月に李氏は懲役17年の有罪確定で収監、21年1月に朴氏に対する贈賄罪等で、サムスンの経営トップの李在鎔(イ・ジェヨン)氏が実刑判決で拘束されるのと合わせて、朴氏も懲役20年の実刑が確定している。これまで歴代の韓国大統領のほとんどが、亡命・失脚・死刑・懲役刑・自殺・収監等の結末であった。政治報復が繰り返されてきた韓国政治には、退任後に不幸な結末を迎える“負のジンクス”があり、最近の現政権への国内外からの評価等から察するに、任期を終えた時点の文氏を待ち受けているものも“安泰”とは言い難い。“左翼独裁”政権に蝕まれた国民は「我国はどこに向かうのだろうか?」という憂いの思いではないだろうか‥。※本欄は月刊誌「リベラルタイム」2021年6月号に「匠の視点(第14回)としても掲載。