菅“暫定”政権の発足と急がれるべき総選挙

“あれよあれよ”という間に、国民だけでなく、菅義偉新総理自身も想定外?だった数日が経過した。7年8ヶ月もの長期政権で、「歴史に残る名宰相」となられるはずの安倍晋三前総理を補佐し続け、そして菅さんご本人も「歴代最長の官房長官」となられた。その間に政治の裏表を誰よりも理解・承知してきた人だから、安倍さんの“心の事情”による突然の辞任表明にも、きちんと対応できたと思われる。さらには、これまで身近で観察してきた周囲の政治家の中から、政治空白を回避することを主眼に、即座に暫定政権を発足させ、かつてない程の国民的な人気と高い支持率にも応えた感がある。すでに目玉人事の一人である河野太郎行政改革大臣のスタートダッシュが際立つようだが、この9月16日夜に発足したばかりの新政権は確実に動き出している様子だ。ただし、先が見えている暫定政権(衆議院の任期の関係もあり、1年後には総選挙は必ず行う必要がある)のため、今やその解散・総選挙のタイミングを見極めている最中であろう。筆者は、もともとは来月10月5日に衆院解散・総選挙との予想情報を得ていた(8月21日新着情報コメント参照)が、少しスケジュール的に無理が出てきたので、菅さんは今や“見極めと迷いの最中”のはず。ただ、年内解散・選挙は避けられなさそうである。その理由の一つは、記者会見等の発言を聴いていても国内政治の方向性は(限定的ではあるが)ほぼ大丈夫そうであるが、外交・安全保障などの「国家としての最重要課題」にも早急に手を付ける必要があるからだ。茂木敏充外相が留任となり、その就任挨拶等を聴いたが(頭脳明晰で定評のある人だから、内容的には申し分はなかったが)、安倍前総理の華やかな外交の後だけに、海外に対する“日本の顔”となるには少し無理がありそうだ。残念なことには、その役割は菅総理でも無理そうであり、防衛・安全保障とともに、それが新政権の課題の一つであろう。だからこそ、コロナ禍の状況の中ではあるが、菅新政権誕生への国民の信を問うためにも、解散・総選挙は急がれるはず。ついでに余談として記しておくが、今回の「ポスト安倍」をめざした岸田文雄前政調会長は、安倍さん自身も後継候補と考えていた時期があり、またご本人もそのつもりでおられたようでもあり、ある意味“気の毒な一面があった。時期はともかくとしても、菅さんの後の総理・総裁候補の一人としては温存されるべきだと感じた。なぜなら、総裁選挙後の報道における会見コメント等の様子から、「人柄はいいが発信力が弱い」と言われた岸田さんだったが、この総裁選の体験を通じ、ご本人も少し自信をつけられた雰囲気があったからだ。一方、党員支持数の多さや地元地域での人気を引っ提げて登壇した石破茂元幹事長ではあったが、選挙戦における記者会見等での発言態度や表情等で、自民党の他派閥の人たちは言うまでもなく、自分の派の中からも“石破離れ”現象が起こりつつあるようだ。いずれにしても(関係者には特にであるが)菅さんの“伝家の宝刀を抜く決断”が待たれている現状であろう。