“武漢ウイルス流出説”再燃の裏側

新型コロナウイルスによる感染の拡大は、「N501Y、デルタ株」等の変異ウイルスも出てきてはいるが、ワクチン接種が進んでいけば沈静化に向かうのだろう。街行く人々の見慣れたマスク姿の光景も変わっていくことを願いたい。そこで今回は、この100年でパンデミックを起こし、最も多くの死者を出した新型コロナの原点を探ることにした。まずは発端であるが、やはり201911月末に中国の武漢ウイルス研究所から流出したという説が有力だ。最近まで、親中国派の学者や知識人の中国擁護の発言等で、「自然変異の結果」「研究所流出説=反中の陰謀論」等と信じ込まされてきた。しかし、少数の調査団(通称=DRASTIC)調べで偶然に病原体を特定。今年1月に、ウイルス研究の権威であるジェシー・ブルーム氏(米ワシントン大学准教授/進化生物学者)も彼らの功績を公に認め、中国はもはや否定できない状況だ。東京大学医学系博士課程を終了し、母校の東京大学でも教壇に立つ台湾出身の林建良医師によれば、新型コロナ発生当時のアメリカはアンチ・トランプの左派メディアが多数であったし、有名調査機関の「自然発生説」主張の公開書簡発表もあり、発生源の追求はされてはいなかった。中国政府も「アメリカ情報機関の陰謀論」として一蹴し、追加調査方針にも反発していた。だが、128日に、「ウイルスは同研究所に保管されていたもので生物兵器狙いだった…”」とする「X論文」が公開されたこともあり、アメリカ国務省も415日に「中国当局は生物兵器禁止条約に違反してウイルス等の軍事的応用に関する活動を行っている」と発表した。ヨーロッパのメディア(英『サンデー・タイムズ』紙等)だけでなく、にわかにアメリカの主要左派メディア(『CNN』、『ニューズウィーク』等)にも報道され始め、526日にバイデン米大統領は発生源の追加調査を政府の情報機関に指示し、その日のうちに調査法案もアメリカ上院の全会一致で通過させている。発生当初からその可能性を強く主張していたトランプ前大統領は、6月5日開催の共和党大会で「中国共産党に、賠償を求める時が来た」と演説し、喝采を浴びた。当初、「ウイルスは動物由来で、人工的なものでない」と発表していたWHO(世界保健機関)も、524日から開催の年次総会では「調査が不十分であった」と釈明はしたが、これは後付けに過ぎなかった。なぜなら、中国の後押しで就任したテドロス事務局長は、以前から中国の共犯者と目されていた人物だからだ。さらにヨーロッパ諸国や日台に不信感を与えているのは、中国国内で起こっている水面下での権力闘争もあり、アンチ・習近平派から漏れた「コロナウイルス由来の生物兵器説」の極秘情報だ。盤石な体制ではない内実もあり、習主席は2010月開催の中国共産党最高指導部による「5中全会」で、長期独裁政権を狙う自身のために「68歳定年」の慣行を破り、22年秋開催予定の「中国共産党全国代表大会」で3期目続投の足場も固めた。これらの国内事情もあって、さらなる権力体制強化のために隠し備えてきたものが「生物兵器」だったようだ。なお、611日からイギリスで開催されたG7サミット(主要7ケ国首脳会議)の2日目のテーマに、この起源調査の必要性も取り上げられ、出席した菅義偉首相も賛同している。※本欄は月刊誌り「リベラルタイム」2021年8月号に「匠の視点(第16回)」としても掲載。