日韓関係と文大統領の“末路”

日韓関係と文大統領の“末路”

悪化の一途をたどる日韓関係は戦後最悪で、いまの日本には嫌韓感情が渦巻いている。これまで韓国はことあるごとに“歴史問題”を取り上げ、反日姿勢を先鋭化させてきたが、いまや多くの日本国民の胸の内は「もはや韓国がどう思おうがご随意に」との思いだ。歴史を書き換え、若者に反日教育までしてきた韓国は、やはり特殊な国で、理屈では理解できない。特に文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領の対日外交の姿勢は、日本人の対韓不信感を醸成している。きっかけとしては2018年10月の日本企業に元徴用工に補償と謝罪を求めた韓国大法院の判決が挙げられよう。日本側は「徴用工問題は解決済み」との認識で、1965年に日韓基本条約が締結されたことで、日韓国交正常化も成立したとの判断がある。これらの事象が前哨戦としてあったところに、2019年12月に韓国海軍艦艇が日本海をパトロール中の日本の海上自衛隊航空機に射撃統制用レーダーを向けるという、同じ自由主義陣営の国に対して行う行為とは考えられない事件が勃発した。現在の韓国政府は、文大統領を筆頭に、進歩派を基軸に構成されているようだが、このことで想起されるのが文氏の最側近だったチョ・グク前法相だ。日本でも韓国報道がエンターテインメント化していたので、ひと頃話題となり、同氏の経歴や人物像をかなり知ることになった。そして、同氏が実際に法相に任命され、就任もした。文氏が任期(5年・再選はなし)を終えた後のことも考え、彼を後任に据え、院政を敷くことを脳裏によぎったとの説もある。国内には多くの支持者もいたし、次期大統領候補と囁やかれたりはしたが、結局は家族の一連の不正スキャンダル(妻は在宅起訴)などで辞任する羽目になり、内政に混乱をもたらした。既に任期の折り返しを過ぎた文大統領にも、いずれこの騒動の責任が問われる時期が来よう。何故ならば、歴代の韓国大統領経験者の初代から今日までを振り返れば、すべてが悲劇の歴史を辿ったからだ。私は、日韓経済協会の役員をしていた関係等もあり、これまで度々韓国出張の機会があった。2009年4月には、韓国国際展示場で、 当時の第17代大統領の李明博(イ・ミョンバク)氏と接見し、偶然にもその時の様子が韓国KBSテレビで放映されるという体験をしている。さらに2015年5月には第18代朴槿惠(パク・クネ)大統領にも青瓦台(大統領府)を訪問し、面談の機会を得たこともある。その時の朴氏の穏やかな表情や親切にもてなしてくれた好印象は鮮明に残っている。政権が交代した後では、李氏は収賄・横領の罪で懲役15年の実刑判決を受け、実兄は逮捕・収監され、朴前大統領も弾劾されて身柄拘束状態にある。歴代大領領(親族を含む)10人中8人が亡命・失脚・死刑・懲役刑・自殺などの結末であったことから推察すれば、現大統領の退任後も安泰とは言い難い。任期を終えた時点で、彼を待ち受けているものは果たしてどうような末路なのだろうか。歴史的な長期政権となった安倍晋三政権が韓国にとっている“馬耳東風”のスタンスに何故か頷ける。※本論は月刊誌「リベラルタイム」2020年6月号に「匠の視点(第2回)」としても掲載。