政治家エピソード連載(野田毅)

今回の第11回目となる連載は、大臣経験も多く、今でも自民党の税制調査会最高顧問をされている野田毅先生とのエピソード。ただ、ご本人の話に入る前に、長らく先生の秘書・秘書官をつとめ、現在は熊本県の阿蘇市長になっている佐藤義興(よしおき)さんについて触れておきたい。野田さんとの関係は、その佐藤さんとのご縁がきっかけだったからだ。佐藤さんが政策秘書をしていた頃、旭化成の秘書室長をしていた私のところに何回か来社され、来られる時には必ず「水野さぁーん!」と周囲にも聞こえる程の大きな声を出されながら廊下を歩いてこられ、面会者の私が気恥ずかしいほどであった。ただ、そんなユニークな一面はあったが、とても人柄はよく、“良い人感”がみなぎっていた印象があった。今でいう芸人的な資質もあったようで、案の定、市長になられてからは名物市長として何かと話題となり、例えば今年も含め、この数年の地元成人式では壇上で新成人に対して挨拶をしていたかと思えば、突然“歌って踊って”と、会場の雰囲気を楽しく盛り上げている。そんな様子を私もテレビの「成人の日」報道番組で見たこともあったし、今でもYouTubeで検索して動画配信を見ることもでき、私も観てみたが、思わず吹き出してしまった‥。ここで、野田先生とのエピソードに入りたい。東大法卒、旧大蔵省入省という経歴をもち、1968年に当時の野田武夫自治大臣のところに婿入り(実父は小立稔・元日大教授)し、同氏の急逝により後継者となり、1972年の衆議院選挙で初当選を果たした。1989年の宇野内閣で建設大臣として初入閣し、以後は経済企画庁長官など、その他多くの役職を経験し、選挙でも2017年の総選挙で「16選」という自民党最多となる大物だ。私は、かなり古い話になるが、神楽坂の毘沙門天の近くにあった料亭で一度だけ会食をご一緒(当時の上司であった山口信夫旭化成会長の席に同席)したことがあった。その後は、経団連主催の「経済界と政界との懇親パーティ」や野田さんが日中協会の会長などもされていたので、日中関係の懇親会・パーティなどでも数回お会いしたが、私を見つけると必ず近づいて握手を交わしていただき、私のことを知らない出席者は“何者だろう?”という顔をして見ておられたようだ。一般に政治家の中には、知ってはいても会合等では「見て見ぬふりをする」先生もいると聞くが、野田さんは常に堂々とされ、私などにも親しさをにじませながら好意的に接していただいたりした。最初に話題にした佐藤阿蘇市長(現在「4選」)と、野田先生との現在のご関係は承知していないが、お二人のご活躍を陰ながら祈念している。

※この連載では(第1回)中曽根康弘・中曽根弘文、(第2回)山崎拓・伊吹文明、(第3回)小渕優子・松島みどり、(第4回)麻生太郎・梶山弘志、(第5回)岸田文雄・石破茂、(第6回)甘利明・山口那津男、(第7回)加藤勝信・江藤拓、(第8回)鈴木宗男、(第9回)二階俊博、(第10回)福田康夫、(第11回)野田毅の各先生は掲載済。以後は順不同であるが、太田昭宏、与謝野馨、加藤紘一、中川秀直、額賀福志郎、丹羽雄哉、石原伸晃、棚橋泰文、金子一義、高市早苗、石田真敏、逢沢一郎、山本有二、山本幸三、盛山正仁の各先生を予定。