人物を見極めるポイントは「自然体」

まずは少し不遜な言い回しとなる点をご容赦願いたい。私はこれまで、政財界を始めとする多くの著名人と身近に接する機会に恵まれた。そこで、私なりの人物論を披歴してみたい。その人が“本物”であるかどうかは、私心がなく、徳があり、かつ実力があるかどうかで決まると思う。さらに周囲の尊敬を得るには、最後はその人の人間性が大事となる。人間力を含めた品格や徳が備わっているかであり、「実像と虚像との乖離が少ない人」だ。個人的には、「虚勢を張り、実力以上に大きく見せようとする、パフォーマンス型の人物」は苦手で、敬遠したくなる。企業や小さな組織における上下関係においても、同様なことはあろう。私自身が現役時代に長期にわたり仕えた上司(山口信夫元旭化成会長、日商会頭)の言葉を紹介したい。それは、「事業の根幹は人づくりにあり、そして部下への最大の説得力は、リーダーが実践してみせること」としていたことである。山口氏の人間性としては、包容力があり、常に温顔(あたたかい顔)で、決して偉ぶるところがなく、周囲の尊敬を集めていた点であった。私自身もその教えに従い、研鑽に努めてきたが、簡単にできることではなかった。例えば、「私はあなたに気を遣っています」ということが見えてしまえば、却って、その気遣いの意味は半減する。気を遣われた相手の方でも、今日的な表現をすれば「引いてしまう」ことになる。そこには「自然体」が求められるのである。