「女性活躍推進」社会の到来は?(再掲載)

※本欄は2020年6月オピニオンの再掲載(原文のまま)⇒歴史的な長期政権となった安倍晋三首相は、最近は影を潜めた感も少しあるが、「女性活躍社会の実現」を目玉政策のひとつとして唱えてきた。特に第二次安倍内閣(2012年12月から2014年9月)では最重要政策の一つとして「女性活躍推進法」を制定し、2015年9月に施行となった。社会のあらゆる分野で女性が輝き、2020年までに女性が指導的地位(例えば上級公務員・企業幹部等)を占める割合を30%程度にしようというもの。日本は少子高齢化に伴う労働力不足の加速化も予想されており、女性の潜在的能力の活用は喫緊の課題である。ただ、このことに異論はないが、現状は目標との落差が大き過ぎると言わざるを得ない。これまで、女性が働く場面で個性と能力が発揮できる一連の施策として、1985年男女雇用機会均等法、1991年育児介護休業法、2003年次世代育成支援対策推進法等が制定され、仕事と家庭の「両立支援」や雇用管理における男女の「均等推進」が進められてきた。しかし、すでに目標年の2020年に入っているが、正直なところ代わり映えがしていない。女性活躍推進法の施行前年の2014年時点で、すでに雇用者全体に占める女性の割合は約43%と高くはなっていたが、その半数以上は非正規雇用であったし、出産・育児期に就業率が低下するいわゆる“M字カーブ”が顕著で、就業を希望しながらも、子育てのハンディなどで働けていなかったというのが実情。今年2020年3月に内閣人事局が国家公務員法に基づく資料を公表したが、管理職への任用状況は総数4715名に対して、女性は403名に過ぎず、割合は8.5%と相変わらずの状況のようだ。この数字がいかに低いかは、海外と比較すれば分かりやすいので、“ダボス会議”で知られる国際機関の世界経済フォーラムが昨年12月に公表した「ジェンダー・ギャップ(男女格差)指数2020」を紹介したい。この分析結果によると、日本の順位は153ヵ国中121位(前回は149ヵ国中110位)と、G7(先進7ヵ国)諸国では最下位と低迷が続いている。因みにG7では、10位のドイツがトップで、以下フランス(15位)、カナダ(19位)、英国(21位)、米国(53位)、イタリア(76位)と続き、日本だけが100位圏内にも食い込めていない。因みに隣国の中国は106位、韓国は108位だった。本テーマの課題解決の対策としては、例えば2016年4月より、301名以上の労働者を雇用する事業主には女性の活躍状況も把握できる「一般事業主行動計画」策定が義務付けられたりはしている。ただポイントとしては、やはり女性のその“活躍ぶり”がより多くの国民の目に留まり、周囲(社会)も納得する必要がある。イメージしやすくするために、あえて経済界・政界での実情を数字で表すと、東京商工リサーチ(2019年12月公表)の調査によれば上場企業における“女性社長”は41名で全体の1%程度であり、政界においても直近の昨年9月発足の安倍改造内閣の女性閣僚は2名のみである。さらなる女性の社会参画と活躍推進に期待したい。※本論は月刊誌「リベラルタイム」2020年7月号に「匠の視点(第3回)」としても掲載。