「大地震」は近づきつつあるか?

人災といえる“新型コロナウイルス禍”の次なる恐怖は、天災(地震・台風・洪水等)の地震ではないだろうか。このところ「前震」(「本震」前の揺れの言葉)を思わせる地震が列島各地で発生している。中野博(識者/ジャーナリスト)氏は、「この1年、2年のうちに起こる兆候では…」とネット配信している。本年20204月発表の防災白書(内閣府)でも、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は、一部の都市部では80%以上という高い数値を公表した。日本の周辺にある4枚の「プレート(岩盤)」が押し合って、地表を揺らしていることが原因。政府の地震調査委員会委員長でもある東大地震研究所の平田直教授は、一昨年20182月に国民に警戒を促す目的で南海トラフにおいて想定されるマグニチュード(地震規模を表す数字のこと、一般にMで表示)8~9の巨大地震の発生確率を、これまで7080%としていたものを80%と見直した。さらには、昨年20195月に放映されたNHKスペシャル(「MEGAQUAKE 南海トラフ巨大地震 〜迫りくる"Xデー"に備えろ〜」というタイトル)の番組では、最大M9.1の地震による激烈な揺れと大津波が発生すれば、死者は最悪32万3千人、経済損失は1410兆円に上るという試算を紹介していた。広い範囲で震度7の地震が発生した場合、最大2分後に津波が発生するとの説もあるが、巨大地震をどこまで事前に予測し、減災・防災を実現できるのか。首都直下型地震も同様に取りざたされていることも念頭に、 “メガ災害 新時代 "の実像をイメージするために、過去の巨大地震を思い起こしてみたい。19951月発生の「阪神・淡路大震災」は、神戸市中心部で大規模な火災が発生し、また住宅も倒壊。道路が通れなくなるなど交通障害も生じた。そして20113月(いわゆる3・11)の「東日本大震災」だが、震源から遠く離れた高層ビル上層階でも大きな揺れなどが起きたし、東京湾岸地域では液状化現象による被害も出た。それとは別に、東電福島原発事故と当時の民主党菅直人首相の繰返された数々の失言も悔やまれる。次に、近いところでは、4年前の20164月に震度7を観測された熊本地震がある。実は、冒頭で触れた「前震」に対して、地震後は「余震」という言葉を使用していたが、なぜか熊本地震以後は使用していない。その他にも数多くの地震が発生している“地震大国”だが、一般的には大都市で起きると古いビルが倒壊し、電話やインターネットがつながりにくくなる。道路が大渋滞して避難も困難、場所によっては電車も停まり、停電、都市ガスの停止、水道の断水も起こる。大地震の発生が近づきつつあることを念頭に、国・地方自治体・企業・個人の各レベルで、防災の備えが十分であるか今一度確認する必要があろう。夏目漱石と親交があった戦前の物理学者・随筆家の寺田寅彦の警句「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉が脳裏をよぎる。※本論は月刊誌「リベラルタイム」2020年8月号に「匠の視点(第4回)」としても掲載。