「固有文化」「生活」と外国人労働者

日本は治安が比較的安定しているという理由もあって、国内には多くの外国人がいる。大多数が東アジア諸国からの出稼ぎや勉学等の名目で来日しており、ここ数年ではベトナムからの来日増加が著しい。202012月時点での在留外国人数は約288.7万人(出所=出入国在留管理庁)で、日本の総人口の約2.3%に相当する。特に20代の若者では5.8%が在留外国人で、東京都では20代の10人に1人の割合だ。他国との比較でも17年時点で、1年間の外国人受け入れ実績は、OECD(経済協力開発機構)加盟国中でも第4位(約47.5万人)だった。第1位はドイツで約138.4万人、アメリカが第2位で約112.7万人、第3位がイギリスの約52.0万人。毎年30万人前後受け入れをしてきた日本だが、受け入れ増の背景は人口減少と少子高齢化による人手不足が顕在化したことが挙げられる。放置すれば経済成長を妨げる要因にもなる。労働力不足を在留外国人で補う公算だ。注目すべきは、我国における彼らの位置づけは、他国とは異なり、「移民」と言う言葉は使用していない点だ。その理由は、政府は外国人による労働力確保を政策として掲げているものの、18年時点で「移民政策はとらない」と表明し、外国人労働者が移民とは別のものだと区別しているからだ。日本政府が示す「移民」とは国籍取得が前提で、在留期間も制限し、家族の帯同も認めず、短期的な移住における在留資格を設けて対応するというものだ。継続して10年以上居住等の住居要件を満たした「永住者」資格の他、政府は19年から入国管理法で新しい在留資格として特定技能枠(1号)を創設した。在留期間は1年、半年または4ヶ月ごとの更新。通算で上限5年までと短い期間での在留とし、技能水準も試験等で確認し、満たしていれば在留資格を得られる。尚、家族の帯同は基本的に認めない方針に変わりはない。あくまでも労働者として受け入れているだけであり、彼らは移民ではないという方針だ。そのような政策になったのは行政の縦割り構造が原因といわれる。例えば、法務省では入国管理法により外国人が日本で不法行為を働いた場合、同省が監督責任を問われる。厚生労働省は移民の流入で日本人労働者が締め出され、社会保障費の増加に繋がることを危惧している。一方、経済産業省は日本の競争力強化を図るため、労働力として専門職に就く外国人労働者の受け入れに積極的な姿勢を見せている。他にも関係省庁の思惑が絡み合い、移民政策は多面的な要素を持ち合わせており、全体像を描くことは難しい。現実問題としては、日本の人口減少が進み、労働力不足が深刻化していくことを考えると、現状のGDP(国内総生産)規模の維持は困難になる。政府は短期間の労働者として外国人を受け入れるとの考えだ。グローバル化する国際社会では、世界全体の人口増加、各国の治安悪化、災害による避難等、様々な理由で移民が増える可能性がある。実際ヨーロッパでは、中東やアフリカでの紛争等が原因で、多くの移民や難民が押し寄せ混乱を引き起こしている。日本は島国であるため、陸続きの国ほど多くの移民が流入することはない。しかし、日本固有の文化や日本人の生活を守るための配慮は必要となる。日本政府は今後、これらの問題を政策にどう反映させていくべきか問われるだろう。※本欄は月刊誌「リベラルタイム」2021年9月号に「匠の視点(第17回)」としても掲載。