新着オピニオン

石破茂・岸田文雄の両政治家エピソード

筆者はこれまで多くの政治家との接点があり、まじかで見聞きしてきた政治家の人物像について既述してきた。

今回の「匠の視点」では、筆者が代表を務める「匠総合研究所」のオピニオン欄に、

2020年1月28日に掲載したものをそのまま転載。現在の両名との相違等も感じられるが、逆にその点では意味があろう。

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令和の元号で新しい年を迎えた本年第1回目の本欄は、次期総裁候補の一人として何かと名前が取り沙汰されるお二人についてのエピソードである。安倍総理が政権移譲する場合の候補者として有力視されているのが外務大臣を長く務めた岸田文雄政調会長(自民党政務調査会長)であり、そして現政権とは距離をおいている存在ではあるが地方党員などの支持率は高い石破茂さんのお二人についての話である。個人的には、好き嫌いということではなく国益を優先するとなれば、自民党の総裁任期を変更してでも『党総裁4選も有り』として、安倍さんが継続するのがベターであろうと思ってはいる。それは別として、本題に移り、まずは岸田文雄さんに関する私の人物イメージである。色々な会での講演を数回聴いていたので、極めて真面目な“人となり”については承知しているが、それ以前にある方からのお誘いにより、有名ホテルでの会食(メンバーは、計4人)も2回ご一緒していたので、実像に近いものも感じ取っていた。驚いたことに、その席には誘っていただいた方の他には、岸田さんが現在会長である宏池会(自民党派閥)の前任会長であった古賀誠先生だったからだ。そのような席に2回にわたり私がお誘いを受けた理由は定かではないのだが、自民党幹事長なども歴任された古賀先生(昨年2019年9月に現役を引退された)の存在感は凄く、安倍政権の改憲姿勢には批判的であることなどもあってか、2回の会食時の岸田さんはまるで“少年の如し”であった。岸田さんは誠実で、敵も少なく、自分の考えもきちんと主張される方ではあるが、(派閥の前任会長の前だったこともあったかも知れないが)日本国の先頭に立って国民を引っ張っていくには「大人し過ぎるかな‥」というのが正直なところである。もちろん立場や役割が変われば、人は変わるものではある。次に、もう一人の石破茂元幹事長・元防衛大臣(防衛庁長官)についてである。「自民党が野党時代に学んだ謙虚さを取り戻そう」などと現政権に対しては“党内野党”的な発言も目立ち、政権中枢(安倍さん、麻生さんなど)とは相性が良くない印象がある。これまで安全保障・地方創生を政策の柱として掲げ、私も会合等でお話しをする機会も数回あったりはしたが、政治家としては誠実な方との印象はあるものの、親しくなっても“懐には入れていただけない方”だと実感した。その辺りが、前回の本欄で取り上げた麻生さんとは最も異なる点だ。石破さんのお父上と田中角栄元総理とが親しかったことも、銀行マンから政界に転出したきっかけの一つと言われているが、農林大臣をしていた時に、当時の首相だった麻生さんに退陣を迫ったことなどもあり、過去のこのような行動などは、口にこそ出しては言わないが、自民党幹部の脳裏に刻まれ、現在は要職につけずにいる要因の一つであろう。北朝鮮の脅しに屈しない抑止力の構築を訴えるなど、何故か防衛大臣が似合った石破さんだが、最近では報道以外の“お茶の間番組”でのテレビ出演もするなど、国民を対象に露出することを意識されている感があるが、これも次期総裁のラストチャンスを考えておられるからだろうか‥。

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始まった「自民党総裁選2024」、果たして岸田氏の後の日本を代表する顔は?

始まった「自民党総裁選2024」、果たして岸田氏の後の日本を代表する顔は?

2024年912日に告示され、9人の候補者が現職の岸田文雄総裁の後任で、内閣総理大臣となるべく立ち上がった。過去最多の候補者数となり、連日報道番組の目玉となることは必須だ。筆者が目を通しているのは、衆参両院からの推薦人が20名あるのが条件であるので、公表されたそれぞれの候補者の推薦人の氏名一覧だ。例えば、最後のギリギリとなり、立候補の有資格となった上川陽子氏の例だけを、ご参考までに記名しておくと、推薦人の氏名の後に当選回数と、かつて所属した旧派閥名も記載されている。

➡▽衆院 松島みどり〈7〉(旧安倍派)山口俊一〈11〉、松本剛明〈8〉、井出庸生〈4〉、井林辰憲〈4〉、仁木博文〈2〉(以上、麻生派)盛山正仁〈5〉、小島敏文〈4〉、堀内詔子〈4〉、国光文乃〈2〉、深沢陽一〈2〉(以上、旧岸田派)小泉龍司〈7〉、牧原秀樹〈5〉(以上、無派閥)、 ▽参院 森雅子〈3〉(旧安倍派)山東昭子〈8〉、猪口邦子〈3〉、中西祐介〈3〉、今井絵理子〈2〉(以上、麻生派)牧野京夫〈3〉(旧茂木派)若林洋平〈1〉(旧二階派)の20名といった具合だ。当初12名~13名の候補予定者の名前が出てはいたが、20名の推薦人が得られず、辞退となり、立候補を果たしたのは9名だ。

その候補者のうち女性候補は、例示した上川氏ともう1名、高市早苗氏の2名であり、どちらかが当選を果たせば、日本人初の女性宰相となる。そこで、個人的な話題となり恐縮ではあるが、実は高市早苗氏とは、筆者が20094月に日韓経済人会議に出席の為に訪韓した際、当時経済産業副大臣をされていた高市氏とご一緒したことがあり、偶々ではあったが当時のイ・ミョンパク大統領に接見し、その時の様子が韓国KBSテレビのニュースで放映もされる等の関係性があった(※匠総合研究所のホームページにその時の報道写真を添付)。本題に戻すが、総裁選に立候補した9名とは、既述の女性2名の他は、これまで幾度となく『小石川』連合と称され有力3候補として報道されてきた「小泉進次郎元環境相・石破茂元幹事長・河野太郎デジタル相」と、小林鷹之前経済安保相・林芳正官房長官、加藤勝信元官房長官・茂木敏充幹事長である。

927日の投開票の結果は、現時点は見通せないのが正直なところだが、各候補が打ち出した政策が他候補への刺激や学びとなり、最終的に総裁の席を陣取った候補には国内政策の意識は当然であるが、外交・安保の視点も改めて注目して頂きたいものだ。昨今は国際政治環境の変動が激しく、11月に決着する次期アメリカ大統領が誰になるか、ロシア・ウクライナ戦争の行方は、政局となりつつある韓国の今後は、相も変わらず弾道ミサイル発射を続け、核兵器の増産方針をも強調する北朝鮮等々、我国を取り巻く国際環境を正しく読み解いて、新総理・総裁は対応に尽力して欲しい。