情報の見極めには「発信者の背景情報」も参考に
筆者は、本年2025年7月で創立10周年となる一般社団法人「内外メディア研究会」の理事長に、昨年24年4月から就任している。メディア情報の的確な判断・理解力が、企業や個々人に大きく影響するとして、同会ではその対応のあり方等を研究している。同会は一般社団法人であり、営利を目的とするものではなく、現代社会におけるメディアの研究や情報の収集・交換を行い、社会全体の健全な発展に寄与することを目的としている。月に1回開催する例会では、最新の話題を解説し、その成り行きを展望できるジャーナリスト・学者・専門家やメディア関係の第一人者(新聞社やテレビ局の現役報道部長をはじめ、雑誌編集長・編集委員等)を講師として招聘。メディアの最前線の情報を参加者と共に学んでいる。企業等の経営スタッフのメディア情報に対する判断能力の向上や、一般には公表されない”生の声”を聴く機会となり、参加者からも自由闊達な質問や意見が出され、有益な集いとなっている。現代のメディア環境を一言で表現すれば“SNSの時代”といえる。インターネットやSNSが登場し、X(旧ツイッター)等に投稿されたネットの情報の影響力が大きい。従来のテレビ・ラジオ・新聞・雑誌等のマスメディアは、情報を一方的に発信し、ブランドイメージの向上や認知度向上に繋げてきた。近年の「ソーシャル・メディアの時代」では、メディアはインターネットを活用し、SNSやニュースサイトを通じて情報を発信。コメント等を通じて受け手と双方向のやり取りを実現している。SNSでは拡散機能も利用可能で、大手新聞社や著名雑誌社の中には、Webマガジンによるネット配信・電子版等も開始。最新ニュースや従来の新聞・雑誌等では公表できない裏情報や記者の本音トーク番組にも注力している。SNSを単に情報伝達の手段だけでなく、社会的な繋がりを生み出すツールと考えているからだ。政界においても、SNSの時代に適応する動きが広がっている。25年7月20日投開票の参議院選挙の公示日以降、各党党首の演説報道がノーカット動画で配信されており、これは誰もが身近でスマートフォンやパソコンで見ることができる。また、各党が独自に実施しているネット配信を通じた政策や公約をアピールは、参院選の結果に相当な影響があろう。また、マスメディアに関するいくつかの課題や問題点の指摘もでている。たとえば、報道内容に裏付けとなる事実が不明瞭な場合があり、記者の個人的な感情や主観が混じった表現が見られることもある。その結果として、情報操作や偏向報道に繋がる恐れがある他、視聴率や売上を優先する商業主義的な姿勢への懸念も示された。インターネットでは誰でも情報を発信できるため、過剰に誇張した表現も散見される。SNSの 高い拡散力に注目し、中には意図的にフェイクを流す発信者もいる。同一のニュースであっても、受け手は鵜吞みにせず、複数のメディアの記事を読んで確認する必要がある。とりわけ筆者が重点をおいていることは、発信者がどのような立場であるのか、またその背景も注視するようにしている。発信者が匿名で背景情報や情報源が明示されず、情報の真偽が不明な場合には、専門家による評価や解説も参考にすべきであろう。偽情報・誤情報は、選挙や災害、事件・事故等、注目を集める出来事に乗じて拡散することが多い。最近は生成AIの登場で、見破ることが難しいフェイク動画への懸念が高まっている。