岸田文雄前首相の「再登板」はあり得る!

岸田文雄前首相の「再登板」はあり得る!

2024年9月、多くの国民の期待を受けて誕生した石破茂政権であったが、支持率は低迷続きで、25年7月に予定されている参議院選挙の結果次第では石破茂首相の退任も囁かれている。立憲民主党の小沢一郎氏(衆院議員)は、6月4日、X(旧ツイッター)で石破首相について、「いま日本で一番信用してはならない人」と批判。「あれだけ安倍政治を否定して、総理になった途端、批判を封印。総理になりたかっただけ」と書き込んでいる。そのような石破政権の現状を受け、政界・メディア関係者の間では、「次の政権を担うのは誰か?」が話題のようだ。首相ポストには〝令和のコメ騒動〞対策で注目を集める小泉進次郎農林水産相の名前が上がるが、「コメは輸入でよい」といった失言もあり、若さ故の課題が残る。岩盤保守層から期待される高市早苗氏(前経済安全保障相・衆院議員)は、本人のやる気は満々なのだが、小林鷹之氏(元経済安保相・衆院議員)等、他の保守派候補者との間で、票の分散が懸念されている。一時は「台風の目」と目された、国民民主党の玉木雄一郎代表は、不倫問題や「備蓄米は〝家畜のエサ〞」の失言等で人気が急失速している。そうした状況の中で、密かに期待されているのが、岸田文雄前首相の再登板だ。岸田氏は、自民党の派閥の政治資金パーティ問題を受け、24年8月に辞任した。岸田氏は辞任時の記者会見で、「自民党が変わることを示す最もわかりやすい最初の一歩は、私が身を引くことだ」と述べ、24年9月に開催された自民党総裁選挙に立候補しない意向を最初から表明していた。かつては内閣支持率が低迷し、首相退陣に追い込まれた岸田氏ではあったが、最近では、メディアでも「首相再登板説」が取り沙汰され始めている。例えば、『読売新聞』は岸田氏の動向を受け、5月6日に「岸田前首相、動き活発化」「再登板へ布石」と報じている。一方の岸田氏だが、本人は再登板について明確な言及を避けている。5月28日、東京都内のホテルで行われた講演で、司会者から首相再登板の可能性について問われた際には、「石破総裁を中心に頑張る、それに尽きる。石破総裁の下、一兵卒として頑張っていく」と述べ、再登板への意欲については言及を控えた。また、司会者から、「仮に首相が退陣し、再登板論が盛り上がった場合は?」とたたみ掛けられると、「拒むといっても、拒まないといっても、色々騒ぎになるので、いわない」とけむに巻いた。自民党内ではいまや、「岸田一強」になっているといわれており、少なくとも岸田氏が精力的に活動しているのは間違いないようだ。例えば、5月の大型連休中には、木原誠二氏(自民党選挙対策委員長)や、旧安倍派の幹部だった萩生田光一氏(元自民党政調会長・衆院議員)といった〝実力者〞を始め、10名ほどの自民党議員達を伴い、インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領や、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相を訪問。「外交の岸田」をアピールした。遡れば、24年11月には「資産運用立国議連」、翌月の12月には「アジア・ゼロエミッション共同体」の議連等、首相時代の肝いり政策実現に向けた議連を相次いで立ち上げ、内政でも精力的に活動している。そうした岸田首相の動向に対して、「再登板への地ならし」との臆測が広がっている。

2024年7月9日の投稿(そのまま再掲載)

自民党次期総裁は「岸田文雄再登板」が有力?

2024年7月7日の東京都知事“七夕決戦”では現職の小池百合子氏の3選で決着し、「2位ではダメなのでしょうか?」という“迷セリフ”の蓮舫(前立憲民主党参議院議員)候補は「2位」にもなれず、SNSの進化でスマホ片手の都民の支持により躍進した石丸信二(広島・安芸高田前市長)氏にも負けた。(但し、石丸氏も人間的には問題ありだが…) ここからが本題。24年9月30日に岸田文雄自民党総裁の任期が終了するため、次なる話題や国民の感心は、次期総理が誰になるのか?と、焦点は「ポスト岸田」に移行。政界は言うに及ばず、メディア報道各社も、自社の方針・事情にも忖度しながら、情報を途切れることなく発信している。最新では「次期総裁選は9月20日投開票」との情報もある。最大野党・立憲民主党の代表ポストも9月30日が任期終了だが、報道の殆どが自民党総裁選の“次いで”の扱いだ。岸田首相の判断次第で、総裁選前に衆院解散・総選挙もありえたが、政権への支持率が一向に上向くこともなく、連立してきた公明党の意向も考慮し、踏み切れなかった。そこで、時期尚早との意見もあったが、総裁選への火蓋が切られた。有力候補とみられるのは、報道各社の世論調査での「次の首相候補」のトップ常連の石破茂元幹事長と、自身も「初の女性宰相」狙いとして意欲を示してきた高市早苗経済安全保障担当相であろう。ただ、両名には課題もある。5度目の挑戦となる石破氏は自民党内では不人気であり、高市氏は前回総裁選で支援を得た安倍晋三元首相が不在となり、20名の推薦人が集められるかという点だ。また、茂木敏充幹事長のように、出馬に意欲をにじませながらも、解消しなかった自派閥からも離脱者が出る等の流れがあり、総裁実現の可能性は低い。小泉進次郎元環境相の名前も常連として上がるが、「50歳まではダメ!」との父上(小泉純一郎元総理)の意向があり、立候補することにはならない。また麻生太郎副総裁が「美しい方とは思わないけど…」との発言に加えて名前も言い間違え、注目させる話題をつくった上川陽子外相は資質的には大丈夫だが、麻生氏のバックアップ次第だろう。その麻生氏に対峙するように、“キングメーカー”の地位を狙う菅義偉前首相の動きも注目されだした。その他、政治家としての来歴等は申し分ないし、実際21年9月の総裁選にも出馬した河野太郎デジタル相だが、6月26日に所属する麻生派会長の麻生氏に出馬の意欲を伝えたものの、麻生“上司”の懐には入り込めないままだ。担当したマイナンバー制度の低迷やメディア関係者にはアンチ派もいるので無理だろう。最近、菅前内閣時代に菅官房長官の後任として官房長官に任命され、“コロナ禍”のメディア対応を連日こなした加藤勝信厚生労働相も候補として急浮上している。若手では小林鷹之衆議院議員の名前も時々話題になる。最後に触れるべき視点は、岸田首相の思いであろう。メディア関係者は“岸田降し”という言葉を多用しているが、筆者が個人的に情報交換や会話を通して実感することは、記者達の本音は微妙に異なることだ。外交・安保・経済等々の対外的な命題にも重点を置いて考えた場合、歴代最長の外相経験があり、21年9月からの約3年間を総裁としての職務を曲がりなりにもこなし、政策アピールは上手とは言えないものの、やるべきことの優先順位を考えながら、淡々とこなしている岸田首相が有力との声は多い。