「野党第一党」の地位も危うい迷走する「立憲民主党」

「野党第一党」の地位も危うい迷走する「立憲民主党」

第50回衆議院選挙に向け、各政党並びに立候補予定者は準備態勢に入っている。先の通常国会中の衆院解散は見送られたが、2310月には衆院議員任期4年の折り返しを迎える。そのため、岸田文雄首相が今秋にも解散・総選挙に踏み切るとの見方があり、各党は候補者の擁立作業を急いでいる。これまで政権与党として連立を組んできた自民党・公明党の関係に、「1010減」(次期衆院選から小選挙区が都市で10増え、地方で10減る)問題等で綻びが生じている。岸田政権は23年4月の統一地方選挙や衆参補欠選挙で躍進した日本維新の会との連携を模索する雰囲気を見せている。維新はマスコミ各社の世論調査では政党支持率が立憲民主党を上回る状況のようだ。例えば、7月10日にNHKが実施した世論調査で、次の衆院選で投票したい政党や候補者がいる政党を聞いたところ、自民が34.2%で、維新が5.6%と続き、立憲は5.1%だった。苦戦が想定される立憲の泉健太代表にとって内心穏やかではないはずだ。また、同党の中では雑言を浴びせる輩がおり、泉氏を“代表の器ではない”と指摘する議員もいることから、気の毒にも思う。立憲の選挙対策事情としては、メディアやネットの影響力が強い昨今、“サル発言の小西洋之問題”をきっかけに、それを擁護した岡田克也幹事長、二重国籍問題を惹起した蓮舫(参院議員)、テレビキャスター時代の報道被害者問題が未解決の杉尾秀哉(参院議員)、TPOを考慮しないパフォーマンスだけが目立つ小川淳也(衆院議員)等が泉代表の足を引っ張っている。さらには、80歳を超える小沢一郎氏(衆院議員)が次期衆院選をにらみ、臆面もなく“泉降ろし”の動きを見せたことで、野党第一党の地位の維持はもはや無理と見るべきだろう。これまでの立憲支援者の心も離れ、党を見限り離党する議員も出始め、離党ドミノも始まる状況だ。1993年に自民党を離党した小沢氏は、自民党時代や、その後の旧民主党政権時代には「政界の壊し屋」の異名で語られ、政治の場面では剛腕を振るい存在感があった。それがいまでは、2110月の衆院選で地盤の岩手3区の小選挙区で敗北。比例代表で復活当選したものの、周囲からは引退が囁かれている“過去の人”。小沢氏が自民党に在籍していた頃の話で恐縮だが、筆者は小沢氏が会員のゴルフ場で彼と一緒に回り、その日の夕食を蓼科にある彼の別荘にて、総勢7~8名でご馳走になったことがある(その時の記念写真を匠総合研究所ホームページに掲載)。当時の小沢氏は勢いがあり、政治の世界では「権力と金力がモノを言う」との考え方を披歴していた。ほぼ一日陪席して、そうした小沢氏の実像・本性を目の当たりにした記憶が残っている。話を戻すが、野党が政府の考えを問う「国会質問」のあり方について、これまでの立憲議員が行った国会質問は酷過ぎるし、節操にも欠けている。例えば、立憲の辻元清美参議員の「ソーリ!ソーリ!」と連呼するバトル質問や、正確な情報もなく、野次と執拗な批判だけを繰り返した小西氏等は、それが得意技なのかも知れないが限度があってしかるべきだ。それらが「立憲はもはや不要な党」と巷間(こうかん)囁かれる根源になっている。※本欄は月刊誌「リベラルタイム」2023年9月号「匠の視点」第41回としても掲載。