途絶えることがない「政治とカネ」問題

途絶えることがない「政治とカネ」問題

「政治とカネ」の問題は国民目線では実情が把握し難いこともあり、視聴率や発行部数を重視するマスコミ関係者は、スクープを意識した表現をしがちである。とりわけ反日思想の左派系記者がはびこる「朝日・毎日新聞系の紙誌」や一部地方紙、また発行部数狙いの“文春砲”に狙われたら厄介だ。最近の「政治とカネ」に関する報道被害の例として、2022年12月に辞職に追い込まれた自民党の薗浦(健太郎)衆院議員を取り上げたい。当選5回で周囲の人望もあった政治家だ。薗浦氏は東京大学卒で、1995年に読売新聞社に入社し、東京本社政治部にも在籍した。氏の出身地は香川県だが、初任地が千葉支局であったことで千葉県での記者生活が長くなり、国政選挙には千葉県から挑戦した。初当選は05年衆院選だったが、筆者は当選直前の時期に麻生太郎自民党副総裁(当時総務大臣)とゴルフをさせて頂く機会があり、その時に随行していたのが当時麻生氏の政策担当秘書をされていた薗浦氏であった。名前が珍しいと感じたのと、麻生氏の薗浦氏に対する信頼ぶりから、将来有望な政治家になるだろうというのが第一印象であった。実際、第2次安倍晋三政権で外務副大臣や首相補佐官を務め、岸田文雄政権でも自民党副幹事長等の経験と実績を重ね、次の閣僚候補とまで囁かれていた。22年5月に、筆者が出席した都内有名ホテルでの“政経懇談会”で薗浦氏がゲスト講師として招かれ、日本の外交・安全保障をテーマに講話をされた。多くの著名人もいる中、国際情勢の分析力と冷静な説明力に「日本の将来の一端を担える政治家」であると感じた。会合が終わった際には、記念のツーショット写真まで撮らせて頂いた。薗浦氏はその際にゴルフをご一緒した時のことを話題にされ、気配りもされる人柄にも好感がもてた。そのような薗浦氏が、信頼して会計処理を任せていた二人の秘書が、17年から20年に開いた計9回のパーティー収入のうち4000万円超を、政治資金報告書へ過少記載し、収入の一部を「裏金」に充てた疑惑が取り沙汰され、政治資金規正法違反が問われることとなった。本件については、筆者が長年懇意にしている“公安警察情報通”の、とある評論家から「秘書にお金の大半を喰われてしまったようで、管理が甘かった…」との“メール”が届いた。結局、薗浦氏は議員辞職願を提出し、自民党を離党する流れになった。議員と秘書の関係は一蓮托生で、東京地検特捜部に秘書二人も含め政治資金規正法違反で略式起訴され、東京簡裁から公民権停止3年の略式命令が出された。所属派閥の麻生派の調整役も担っていた薗浦氏の“喪失”は、側近として頼りにしていた麻生氏を始め、地元支援者の失望も大きかった。前月11月に政治資金を所管する担当大臣の寺田稔総務相が政治資金問題を巡る不適切処理で更迭されていたこともあり、「政治とカネ」の視点で報道機関に注目を浴び、岸田文雄首相の政権基盤も揺るがした。カネに執着する政治家もいるが、国家・国民のための政治ができない“政治屋”の場合であろう。薗浦氏の場合は、個人的には本当に気の毒に思った。原則5年とされる公民権停止期間が3年に短縮されたので、時期が来たら政権復帰の日が訪れることを切に願いたい。※尚、本欄は月刊誌「リベラルタイム」2023年3月号「匠の視点」第35回としても掲載。